何でこの空気で『は〜い!!』って返事するんだよ。


「よし!!じゃあ、いくよ!!」


監督が満面の笑みで叫ぶ。


よしっ。


「夏菜っ!!待てよ!!」


逃げるKanonを掴む僕。


僕は裕太。

夏菜が好き。


「やだっ!!離してよ!!」


ドキッ


あぁ、ムカつく。

コイツ適当なくせに演技だけは上手いのがムカつく。


「俺の話を聞けよ!!」


「もういい!!裕太の気持ちはわかったから!!」


「わかってねー!!」


「わかってるもん!!」



僕たちの演技で空気が変わる。

みんな息を飲んで僕たち二人を見ている。


この空気、この緊張感。


この感じ。

この感じが好きなんだ。