「ぐあああ!やっやめてくれっ!頼む!金はいくらでもやるからっああああぁぁああ!」



『あはは。生憎そんなものには興味ないの。まぁあって困りはしないけど、有りすぎたら困るでしょ?』



薄暗い路地裏の奥で大きなナイフを持った少女と、血まみれの男の声が響く。



男は血を流したまま必死に目の前で愉快そうに嗤う少女に命を乞う。



ーーあは、これほど滑稽な事ってある?大の大人が少女に命乞い、だなんて。



それにーー


『多分貴方が持っているお金なんかじゃ、人一人分なんて払えないよ』




少女は嗤いながらナイフを刺す。



ぐちゅ、ずぷっ



皮膚が裂け、肉が裂け、内臓が裂ける。



もう男は声も出せない。喉に刃が刺さっているから。



男の口から血が飛び散った血を指で拭ってペロリと舐め取る。



首をもぎ取り、ナイフの先で目玉をくり抜いて転がしたり潰して遊ぶ。










でも唐突に、彼女は笑顔を消した。




『・・・つまんない』




少女はピエロの仮面を外したかのように無表情になり、すっと立ち上がったと思えば、惨い死体を放置して大通りの方へ歩いて行った。