新入社員を迎えて、特に何の問題もなく普通に仕事していたのだけれど…
あたしが乗った船はやっぱりかの豪華客船かもしれないと思い始めたのは、それから二週間後のことだった。
「ねぇねぇ、やっぱり澤村部長ってカッコイイよね~!」
「うん!あんな人が上司だなんてラッキーだよ!」
そんな声が耳に入ってきた、ある日の食堂。
珍しく一個だけ残っていた豆乳プリンを発見して、ウキウキと手を伸ばしたあたしは
そんな黄色い声が聞こえて思わずピタリと動きを止めた。
「豆乳プリンも~らい♪」
「あ゙っ!ズルいよ千葉ちゃん、それあたしの!」



