タクシーの中で、あたしはうつらうつらした意識のまま千葉ちゃんにメールを打っていた。
“あたしのバッグ、預かっておいて”
とだけ入力して。
送信した後、何回か着信があったことに気付いた。
相手はもちろん拓海さん…。
心配…してるかな…?
だけどかけ直す気力もなく、あたしは携帯をしまって目を閉じた。
瞼の裏にはついさっきの映像が浮かんだまま消えない。
その忌まわしい映像から逃れるように、あたしの意識は深い所へ墜ちていった。
「ほんと無防備だね、キミは…」
と、隣の小悪魔が呟いた声も聞こえずに。
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