『そうね…会わせてもらおうかしら』

なんて、白々しいにも程があるわね。

声をかけられて最初は驚いたけど、本当は『あの子に会いたいから』なんて言ってあなたに誘ってもらう気でいたのに。


「どうぞ。」

そう言ってあなたは玄関の扉を開けた。

綺麗なマンションの1室。

部屋に入ると、爽やかな香水の匂いがした。

あなたにぴったりの香りだと思ったわ。

まるで、澄んだ青空を思わせるような香り。


部屋の中では、白い猫がソファの上で丸まって眠っていた。

「あぁ…綺麗にしてもらったのね…アンジュ、真っ白で、本当に天使みたい…」

「こいつ、風呂に入れても全然嫌がらなくてさ、変わった猫だよなぁ…」


真剣な顔でそんなことを言うあなたに、思わず噴出してしまいそうになったわ。