今回もまた僕は帰ってきてしまった。
理由はもちろん、
禁忌の言葉を使ったから。
元々、禁忌の言葉は我ら
獣の先祖が人間との
力の差を示すものだった
しかし、人間になりたいと望む獣を
人間に近付けないようにするために
禁忌の言葉は生まれて来た。
禁忌の言葉を発すると、
主が獣、つまり僕たちとの契約を
解消するまで自分で自我を
制御出来なくなってしまうのだ。
人間は獣を恐れる大きな理由
それは獣が人間よりも
大きな力を持ちすぎて居るからである。
しかし、2年に一度だけ
僕たちが新しい主人を捜しに行くことを
許される
宝の日というのがある。
今年はその宝の日がそろそろ来る時期だった。
「丁度良い頃に戻って来れたな。」
何かを考え続けている僕に
朱雀さんはにこやかに笑って言った。
「僕。今回宝の日外界に行くの
止めようかなって考えてたんです」
僕は朱雀さんに言った。
「柘榴・・・外界で何があったのかは知らないが、
そこまで責任を感じる必要はないのだぞ?」
朱雀さんは僕を宥めるように言った。
そして、それだけ言うと朱雀さんは
賑やかな部屋へと入っていったのだった。
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