今日の目的は伊織のバースデープレゼントを買う為。

「…なあ、聖には頼まねえの?」


「えー?聖?聖の好みクールじゃないのよね」


「…………そ」


「何で聖?」


「いや、別に」


変なの。
まあ、いいか。

「あ、ここいい」


入ったのは小さなシルバーアクセサリーが売ってるお店。

「いいねえ」


この渋い感じ、伊織に似合うな。
うろうろ店内を見てると、千里の姿が見えないことに気付いた。

店内を見回すと、一点を見つめた千里がいた。

「………千里?」


「あ、ごめん」


「何、気に入ったのあった?」


ひょいと千里の後ろから覗き込む。


「うわ、カッコいい」


そこにあったのは、シルバーのクロスネックレス。
渋く、ごつめの、くすんだ感じがまたカッコいい。

「さすが、千里。
あ、すみません」


すぐに店員を呼んで、私はそのネックレスを即決した。

「ありがとうございました」

店員の声を背中に聞きながら、綺麗に包装された包みを満足そうに私は見つめた。