千里との待ち合わせ。

A型なあいつは時間にはぴったりくる。
ルーズな私はいつも待たせている。

「お待たせ」


「………はあ、美佳さんはいつも遅刻」

千里は私を美佳さんと呼ぶ。
理由を訪ねても、先輩には敬語でしょ。とか言って。

なんて、律儀な奴。
さん、付ける男なんて千里ぐらいだ。

伊織なんか初対面から呼び捨てだったぞ?

「さあ、行こうか」


千里の腕を組んで、足を弾ませながら進む。
でっかいショッピングモールに今日は二人でデート。

理由は…。

「…てか、俺伊織の好みなんかわかんねえけど」


「いや、私も知らない」


「はあ?じゃあどうするわけ?」


「千里がカッコいいと思うモノなら伊織もカッコいいでしょ」


「………いいの、それで」


「いいよ、私が選ぶより、きっと」


千里は溜め息をつきながら、仕方なしに歩く。
組まれた腕も、毎度のことだから何も言わない。


千里、本当にいい男だから歩いてて自慢なのよね。
なんてったって、最初に千里が一番好みだって社長に言ったぐらいだし。

それを千里が分かってるのかは知らないけど。