色々あるんだな。



誰かに恋、なんて。
もう、何年もしていない。


俺は。



誰も好きにならない。




だから。



一途に想える伊織を。



羨ましく思った。




どれだけ辛くて。
痛んで。
泣けることだなんて。

知ろうともせず。


ただ、羨ましいと思って。



少し、冷めていた俺は。


何かに熱くなれる奴すら、冷めて見ていたから。



きっと。
憧れの裏返し。



それからの伊織は。

酷く、苦しげに見えた。



何も声をかけられなかったのは。
きっと、関わりたくなかったんだ。


深く、関わるのを避けていたんだ。


…それが。



    俺の弱さなんだ。






      【完結】
      2011.10.3