真っ直ぐ。
揺らぐことなく。

しっかりと俺を見つめて。


それに。
再度、振られたんだと。

苦しいぐらいに痛感した。



お願い、神様。
泉をどうか。


どうか、幸せにしてあげて。


こんな、真っ直ぐに伊織だけを好きなんです。


反れることなく。
疑うことなく。



ただ、真っ直ぐにひたむきに。

そんな泉を、どうか。




「…じゃあ、もう帰るね」


和がそう切り出すと、泉は俺と和を玄関まで見送ってくれた。


帰路途中。
俺と和は黙ったまんまだった。

何もかもが、衝撃的すぎて。

和に話せなかった理由とか。
休んでどこ行ってたとか。

そんなこと、どうでもよくなるような内容だったから。

「……順二、勝てないね」


静かに和が言う。
勝てない、とは多分、伊織のこと。

「……あんなに喜怒哀楽激しい泉、初めて見た」

中学の頃からの親友の和も、あんなに取り乱した泉は初めてだと言った。