レンタル彼氏 Ⅰ【完結】

その様子を見て和は直ぐ様駆け寄って、泉を抱き締めた。


…こんな時、本当男ってのは頼りにならない。
それを痛感する。

だって、泉の言葉に頭真っ白だ。

和は至って冷静で、泣きじゃくる泉の背中をさすりながらずっと聞きたかったことをついに言った。

「………何があったか、聞いていい?」


泉は一瞬、目を見開くとまた涙をぼろぼろと溢れさせながらごめんね、と呟いた。

やっと、思考が追い付いた俺は動揺しながら泉に尋ねた。


「……男と…別れたのか?」

泉は涙を相変わらず流しながら、表情をなくした。


そのまま。

「…………別れた」


そう、言った。


胸が一気に苦しくなる。

別れたことが嬉しくないわけじゃない。
だけど、喜べないのは。

泣き崩れる泉を目の当たりにしてるからだ。

その、男のことでここまで泣ける泉を見て、嬉しいだなんて思えるほど俺は薄情じゃない。


だって、俺だって泉の幸せを祈ってるんだ。

誰よりも。