レンタル彼氏 Ⅰ【完結】

和を怖いと思ったことを、心の中で謝罪してると和が少し怒気を含めた声で言う。


泉の家にお邪魔してから、彼此一時間が経過しようとしていた。
携帯も繋がるけど、出ない。

どこにいるの?
沈黙が訪れた時だった。


玄関の開く音がした。

すぐに母親が飛び出す音がする。
と、同時に廊下をドタドタと走る音。


バタンと扉が開いた先に泉がいた。


私服姿の泉は目に涙を溜めると、息を切らしながら叫ぶように言った。

「今すぐ帰って!
二人がっ、二人がいなきゃ!伊織とさよならすることもなかった!」


………え?
さよなら…………?

その言葉の意味が理解出来なくて泉を黙って見つめる。


「あの日、順二と帰らなければっ。
和が一緒にいればっ」


…………あの日?


告白、した日?


「伊織はいなくならなかったのにぃ………!」


そう、叫ぶと泉は顔を覆って崩れ落ちた。