レンタル彼氏 Ⅰ【完結】

和の押しにやられて、俺は流れに流されて、今泉の家の前にいる。

「……か、帰っても…」


「泉のこと心配じゃないの?」


「………心配、だけども」


和って、人の扱い慣れてる。
痛いとこばっか突かれる。

そんな俺の返事を聞いてか聞かずか、和はさっさとインターホンを押す。
俺ならそのボタンを押すのに小一時間は格闘しそうだけど。


聞こえたのは、泉の母親の声。

「あ、和です、こんにちは」


「あら、和ちゃん?ありがとう、わざわざ」


「いえ」


「待っててね」

ぶつっと、インターホンの通信が切れる音がして、少し経った後、玄関の扉が開いた。

「いらっしゃい、和ちゃん……………と、えー…そちらは?」


泉の母親は俺を見て動揺していた。

「あっ、おばさん、こっちクラスメイトの順二君です」


「順二君、わざわざ…ありがとう」


「…いえ、はじめまして」

ニコッと笑った顔が泉にそっくりだった。


「ちょっと待っててね、泉見てくるから」


そう言うと、母親は泉ーと声をかけながら奥の部屋へと向かう。

寝てるのか、泉の返事はない。