レンタル彼氏 Ⅰ【完結】



なあ、付き合うことって幸せになることじゃねえの?


わかんねえよ、俺。


「………落ち着いた?」

涙は止まったけど、まだひくつく泉の背中をさすりながら尋ねた。


「………うん」


「……………」


「…ふ?」


ぷにっと頬をつねる。

「……暗く、なんなよ?」


「…ふへ」


「言っておくが、明日気まずいからってシカトすんなよ?」


「ひゃい」


「よろしい。
……じゃあ、俺帰るな」


「…………うん」


「また、明日」


「…バイバイ」


泉は俺がつねっていた箇所を抑えながら、ゆるゆると手を振った。


帰路。

俺は、はたはたと涙が零れて止まらなかった。



「……っくしょ、何だよ」


今更、手が震えている。

言ったらさ。
もっと、すっきりするもんだと思ってた。


どーしてこんなに苦しいんだよ。


“大好きなんだっ”




その言葉だけが頭をぐるぐるとリフレインする。