レンタル彼氏 Ⅰ【完結】

「あるけど、ちょっとワケあって飲めない」


「ワケって?」


「……まあ、色々と」


「ふーん、そっか」


まあ、色々あるんだろうな。
でなきゃ、いきなり体を売ったりなんてしないだろうから。


「そういえば、伊織いくつ?」

タバコに火を点けながら伊織に聞く。


「…………14」

十代だとは思っていたけど、まさかそんなに若いと思ってなくて固まった。


「…………中学生?」


「行ってたら中学三年」


「行ってたらって義務教育でしょうが」


「だって、暫く行ってないし」


「引きこもりではなさそうね。不登校かあ」


「まあ、勉強はしてるけど」


「家で?」


「毎日一時間」


「ぶはっ、短っ」


「いいんだよ、そんぐらいで」


「何がだし」



こんな若いのに何か悟ったような顔をしてるのは、色々伊織にあるからなんだな。


伊織が学校に行かなくなった理由を知るのは、もっと後の話だけど。

その話を聞いた時、伊織は何もかもを失っていたんだと思う。
そして、何もかもを信じられなくなったんだと思う。