「……いくら」

目の前の綺麗な顔をした少年がぽつりとそう呟く。


「え?」

思わず聞き返すと、彼は嘲笑うように一笑いしてから

「俺、高いよ?」

そう、言った。


そんな生意気なこの少年に一気に興味が沸いて、値段を聞くと二万と言うじゃないか。


高い…?



安すぎるけど。
とゆうか、多分こいつ売ったことないな。


「やっすいのね」

案の定、そう言った私に何も言い返せず押し黙る。
そんな姿も気に入った。


そのまま、伊織を私は買った。


男を買うなんてこと、造作もないこと。
本当、なんてことない。


伊織のセックスは何かから逃れるように、全てを押し込んでいた。

その何か、とはこれから先痛いほど知るのだけれども。



終わってから、彼は惚けたままベッドに横たわっていた。
そんな彼を一瞥してから、私は汗を流しにシャワーを浴びた。