そんな呆けてる私の頭を叩いたのは和。



「また最近ぼんやりしてんぞっ」


少し頬を膨らませて私を見る和。



唯一無二の親友。

だけど。




伊織のこと言っていいのかな。



彼氏が出来たって、声高々に言いたい。
しかも、あんなカッコいい人だって。




だけど。
伊織が何をしてる人だなんて、私には説明出来ない。


嘘をつけない私だから、きっと顔に出ちゃうはずだ。


伊織の傷を何一つわかってあげられてないのに、自分がその傷を抉るような真似出来るはずがない。




そう、思うけど。

実際、私が伊織の何を知ってるのか?


そう、問われたら…。






きっと、何も言えない。