レンタル彼氏 Ⅰ【完結】

俺はおにぎり二つと、ブラックコーヒーのみ手に持っている。
伊織はかごを持ちながら、信じられないような顔で言った。


「逆に伊織はよくそれだけで平気だよね」


「ああ、食べ物興味ねえし」


「…栄養大事だよ?」


「そっくりそのままお返しするわ」


会計を済ませた俺は、聖の隣で大量のお菓子達のレジ打ちを見ていた。


大きな袋を両手に抱えて、聖は満足そうに歩いていた。


寮に戻って、部屋がある八階まで行くとそこにいたのは千里だった。


「あ、千里~!お疲れー」


誰とでも打ち解けられる聖の才能は本当に天晴れだ。


「ああ、何お前らも今日オフなの?」


「違う~俺はこの後仕事!」


「…俺はない」


「ふーん」


さほど興味がなさそうに千里が呟くと、時計に目をやった。


「…じゃ、行ってくるわ」


「千里、頑張ってねー!」



聖は片手に大荷物を持って、ぶんぶんと空いた手で千里に手を振っていた。

千里はそれを見て軽く笑うだけだった。



「はあ~…千里、まじかっこいいよなあ」


「はっ?」