頑張ってほしい。 いつも千尋くんに助けてもらってるぶん、あたしも千尋くんの力になりたい。 「ち、ひろくん………」 「あるみっ」 ちっちゃい声で呟くあたしに、ヒメちゃんが歓声に負けない声で叫ぶ。 「まだ間に合うよ! 言ってやんな! あたしのために金メダル持ってこいって!!」 「ヒメ、ちゃん……」 「呼ぶのはあたしの名前じゃないでしょっ」 そう言って、ニカッと歯を見せて笑うヒメちゃん。 そうだ。まだ間に合う。 言わなきゃ。 「千尋くんっ、頑張って───ッ!」