千尋くん、千尋くん







だけど、このままでいいのかな。




こんなモヤモヤするままで、千尋くんを見てるのって、なんか……いやだ。






グラウンド全体から聞こえる、生徒達の歓声。





千尋くんはチーターのようなその脚力で、2位だった1組のアンカーも抜いた。




さらに盛り上がる生徒達。





あと、1人。






「おぉっ! 宇治橋くんすげーじゃんっ! あのビリからもう2位だよ!」






確かに、千尋くんは驚くほど速く走者を抜いていったけれど。




やはり、あのとき転んだ分の距離を縮めるのは難しい。






残り半周で1位の走者を越すには、まだかなりの距離がある。