千尋くん、千尋くん








「あるみ? まだアメ食いのこと落ち込んでんの?」




「え……あー、それはもう大丈夫」




いや、本当はまだ恥ずかしいんだけれど。





……それよりも、さっき千尋くんと目が合った時に、何も言うことができなかったのがすごく気がかりで。





なんか、心がモヤモヤしてしまう。





いつも、あたしが困ってるときに何も言わず手を差し伸べてくれる千尋くん。




なのに、あたしは千尋くんに何もしてあげられてない。






「あぁっ!」



「ど、どしたの……?」





いきなり隣で大きく声をあげたヒメちゃん。




体育大会でも、抜かりなく化粧されているヒメちゃんの大きな目が見ている方向に、あたしも視線を向ける。