千尋くん、千尋くん








「とにかく、もう時間もないし。宇治橋くん、いいわね?」




チラリと右腕の腕時計を見た先生が、圧力のある顔で千尋くんに迫っている。





「……いやだ」




「お願いよ! 今のところうちのクラス2位なの! このリレーで勝ったら優勝できる逆転チャンスなの!」




「別に優勝できなくても良いです」




「優勝したい! 先生は!」





なんか……情熱的な先生だなぁ。




千尋くんがどうするつもりなのか、たくさんの人の間から見ていると……。







………あ。








パチリ、と千尋くんと目が合ってしまった。