「遅い、てきとーでいいっつったじゃん」 「あと、パスタ茹でるだけだから! もうちょっと」 パスタのカニクリームソースができたところで、眉間にしわを寄せた千尋くんが2階からリビングへとやって来た。 キッチンにいるあたしの隣へ来て、手元の鍋を覗きこむ。 「……千尋くん」 「ん?」 「重い、です」 なぜかあたしの頭の上にある千尋くんの腕。 完璧にひじおきにされている。