千尋くん、千尋くん







「え、どーするの?」

「オレ無理だよ、さっき800メール走ったばっかだし!」

「だって、あいつアンカーじゃん」





何やら、3組の生徒がいろいろと揉めているみたいだ。




「あっ、あんた3組の子だよね?」




近くでオロオロしている女の子に、ヒメちゃんが声をかける。




「あっ……う、うん」




「どうしたの? 何かあったの?」




「えっと……」




いきなり、初対面にも等しいヤンキーギャルのヒメちゃんに話しかけられたもんだから、少し驚いているその子。




大丈夫だよ、ヒメちゃんは優しい子だよ。




と、あたしはフォローをいれる(心の中で)。







「あの、次のリレーのアンカーの一之瀬くんが、ケガしちゃって出れなくなっちゃったらしいの……」





「一之瀬くんが?」




あ、いや、別に友達とかじゃないんだけどね……。