千尋くん、千尋くん







せっかく頑張ったら、明日千尋くんが一緒に遊びに行こうって言ってくれたのに……。






開会式を終えてすぐに始まったアメ食い競争。




100メートルコースの途中にある大量の小麦粉が入ったトレーに、顔を突っ込んで手を使わずに探すといういわば普通のルール。




そんな中、1年生のあたしは順番が一番最初にスタートして、たくさんの生徒が見守るなかで緊張しながらも小麦粉に顔を埋めた。





しかし!






……アメが全然見つからないのだ。




鼻に粉が入ろうと、粉のせいでむせようと、一生懸命探したのに見つからない。




その間にも隣のレーンの生徒たちはゴールしちゃうし、やっぱりアメはどこにもないしで。





もはや最終的に1人になったあたしは、半べそをかきながら観客に応援されて、ものすごく恥ずかしいゴールを迎えたのだ。