千尋くん、千尋くん









「つ、疲れた……」




午後5時前、なんとかギリギリにお風呂掃除を終えることができた。





あの広い大浴場を洗っていくのは、けっこう大変で、洗剤で滑って派手にこけたりもしてしまい。




ジャージを借りて正解だったと、改めて思う。





一方の千尋くんは、いつもは適当なくせに優しいおばあちゃんへの責任もあるのか、意外とマジメに掃除していた。





途中で、前髪が邪魔だとかなんとか言っていたので、あたしのピンを1本貸してあげると、前髪をとめたニュータイプの千尋くんは、なんだかものすごく可愛かった。





「なんかムズムズする、やっぱりいらない」





と言って、ものの数秒で返品されたのだが。





うん、めげない。