千尋くん、千尋くん










そして、あったと呟いて取り出したのは……。






あの時、あたしが無理矢理千尋くんに返したネックレスだった。







「これも、いらないんだよね?」






しゃらりと繊細な音をたてて揺れるそれ。




千尋くんと色違いであるピンク色の石は、あの頃と変わらずに今もなお綺麗に光っている。






いらなくなんてない。




できることなら、ずっとずっと離さずに持っていたかった。







だけど、今のあたしにそれを返してもらう権利なんて……。








ごめんなさい。



またそう呟こうとした時、静かに小さく息を吐いた千尋くんが口角を上げた。












「ごめん。嘘だよ、ちょっといじわるしてみた」







「……え?」









微笑みながらそう言った千尋くんに、あたしは意味が分からずポカンと口を開ける。