千尋くん、千尋くん







「帰って、きた……?」




「そ。あるみのために!!」




「み、瑞穂くん……ふざけてないで…っ」




「親、説得したんだ。兄ちゃんと同じ高校受かるのを条件に、今年からまた日本に戻って暮らすって」





そう話しながら、ゆっくりと一歩一歩階段を降りてくる瑞穂くん。


あたしの立っている場所よりひとつ下の段に降りた瑞穂くんの背は、明らかにあたしより高かった。



男の子ってすごい。




少し会わなかった、たった数ヶ月の間に、こんなにも成長してしまうんだから。






「……また、あのマンションに帰ってきたってこと?」




「まぁ、そんな感じ? さすがに高校生にもなれば、親とか兄貴(熾音)の世話なしでもやってけるしな。こっち戻ってくるために、俺頑張って勉強したんだ」





海外にいる両親に、高校生になることを節目にと、千尋くんと同じ高校に入学するのを条件として、また日本に戻って暮らすことを許してもらった。




瑞穂くんの話を聞くと、つまりはそういうことらしい。