千尋くん、千尋くん







「え……? えっと、あの……、瑞穂くん? え、本物?」



全く状況の掴めないあたしは、自分をなんとか落ち着かせようと心の中を整理する。




少し髪も伸びたし、身長も大きくなった。



顔立ちもなんだかより千尋くんに似てきているし、雰囲気も大人っぽくなっている。




だけど、目の前にいるのは数ヶ月前に海外へと行ってしまった、確かに本物の瑞穂くんなのだ。






もう一度確認しようとその顔を見上げると、きょとんとしているあたしにクスクスと笑いを浮かべた。




「あるみ、不思議そうな顔してるね」




「そっ、そりゃそうでしょう……! いまだに意味わかってないもん!!」




「ぷふっ、おもしれぇ」






困惑するあたしをよそに、笑ってばかりの瑞穂くん。



どうやら事情のわかる彼だけがこの状況をおもしろがっているらしい。