千尋くん、千尋くん






「本当に、帰っちゃっていいの?」




「うん、今日はもう少し残っていたい気分なんだ」




「そう……じゃあ、明日ね」




「うん、バイバイ」




入学式と始業式を終え、たくさんの生徒達が下校する中、あたしは1人学校に残ってヒメちゃんに別れを告げた。





なんとなく、なんとなくだけど今日はここにいたい気分で。





生徒玄関からヒメちゃんの姿が消えたのを確認したあたしは、重たい足どりをまた校内へと向けた。