千尋くん、千尋くん







複雑に動く胸を押さえながら、 その宇治橋という1年生の後ろ姿をみてみた。



彼は前の列の方で よく見えなかったけど、やっぱりそこにあるのは千尋くんの後ろ姿ではなかった。




そう分かっていながらも、どこか落胆してる自分がいた。






バカみたい。




あたし、バカみたいだ。





そうため息を吐いて、また視線を右往左往へと游がせた。




こんな気持ちのまま、あたしはこれからの毎日を過ごしていけるのだろうか。




しっかりと、前へ進んで行けるのだろうか。








そんなことを考えている間に、刻々と時間は過ぎていった。