「まじ……バカ」
「何とでも言いなさい。瑞穂くんはあたしの可愛い弟だから、今日は暴言も多目に見るよ」
屈託のない笑みでにへらっと笑うと、いつの間にか目に涙を溜めた瑞穂くんが、ギュッと口を紡いでいた。
本当は怖かったんだもんね。
目一杯強がってたんだもんね。
その気持ちは、痛いほど分かるから。
男の子だけど、今日くらい泣いていいんだよ。
優しくそう言って瑞穂くんの頭を撫でる。
初めてあたしに弱さを見せた瑞穂くんは、かっこわるくなんてなかったし、可哀想でもなかった。
ただただ、今日だけはそんな彼が。
とても愛おしく見えたんだ。

