「うん。それ、聞いて思ったんだ。確かに瑞穂くんは口とか、あたしへの態度が悪いときあるけど……それも、もしかしたら可愛いのうちに入ってたんじゃないかなって」
ただ、気づいたら嫌いではなかった。
ただ、気づいたら彼氏の弟なんてそんな小さなくくりじゃなくなっていた。
ただ、気づいたら……。
「熾音さんがあたしに言ってくれたのと同じ。今の瑞穂くんは、あたしにとって本当の弟みたいに可愛い存在なんだよ」
だから、それに気付いたとき。
あたしの中で、瑞穂くんを捨てるなんて選択。
どっかに吹き飛んじゃってたんだ。

