千尋くん、千尋くん









急いでタクシーを拾って病院へ駆けつけたときには、もう遅かった。






お医者さんの話を聞いて泣き崩れるお母さんと、あたしに「かなりショックを受けますがお逢いになりますか?」と聞く看護師さん。





何も言わずに、コクリと頷いて、その白くて重い扉を開けてもらったのだった。











ショックは受けなかった。





ううん、受ける素振りを見せなかっただけで。





本当は………。











「……お……と、う……さん」