千尋くん、千尋くん









「千尋くん」




「………」




「怒って、る?」




「………」





送ってくれるのか、あたしの家の方向に足を進める千尋くんは、さっきから何を言っても反応してくれない。





「ちっ、千尋くん……」




「………」






うぅ……そろそろめげそう……。








そう思った時、人気のない路地で、ようやく千尋くんが歩みを止めた。