「だから、そんな泣きそうな顔しないで」 「ぅん……っ」 「あるみの泣き顔見ると、こういうことしたくなるから」 「……ッ」 静かにくっついた千尋くんの唇は、指先の何倍も温かかった。 千尋くんとの恋愛に、理屈はいらない。 もう少し、安心してもいいのかもしれない。 「あるみ」 そうやって優しくあたしの名前を呼んで、こうやって優しくギュッとしてくれる、千尋くんの笑顔がすぐそばにあるから。