ヒ-ロ-なんていらない

『大丈夫、すぐ救急車が来るからね?』


あたしを安心させるように囁いたあの声は、


その声を聞いた瞬間にあたしは泣いていたんだ。


「ああ、ドクタ-だって言ってました。今からそちらに向かう予定です。」


ドキンドキン、


そんな事はないはず、


でも、もしかしたら。


あたしの中の細胞がざわざわと沸き立つのを感じた。

救急搬送口に着くと、看護士さんやら、


救急士さんやらお医者さんやら


ワ―と来て


女の人を連れて行った。



一人の看護士さんが来てこちらへどうぞと連れていかれ


傷の手当てをしてもらった。


転んだ時着いた手首をねん挫していたらしく赤く腫れていた