カチ、カチ、カチ 規則的で無機質な音。 一定の間隔で時を刻む。 カチ、カチ、 ―――ああ、時計の音か… 上手く回らない頭で、やっと音の正体が何なのか気付く。 「……わっ」 その途端、ふわりと体が浮遊感に包まれた。 体の中の内蔵全てが持ち上げられるようなこの感じ。 「気持ち悪っ」 思わず呟いたけれど、それが私の耳に入ることはなかった。 突然発生した、耳元を凄い勢いで通り過ぎていくごーっという音にかき消されたのだ。