爽やかに笑って男は言った。


「お前、どうせここでは生きられないんだろ?
よければ俺の所に来ないか、調度人手がほしい時期なんでね。」


「は?」


「お前がその首を縦に振れば、今すぐこの格子を壊してやらんこともない」



自慢げに言う、男が伸ばした手の先には腰に携えられた真っ黒な棒…否、剣がある。


「断る。
なんで西洋人なんかに…というか、言葉はわかるのか」


「今のところ、学だけが取り柄でね。
だから戦闘力と信頼性のある人員を集めていたら、お前を見つけたわけだ。

経験からモノを言って申し訳ないがお前みたいな変わり者は非常に扱い易い、なんたって…」


再び語りだす男の言葉を、緋次は怒声で遮った。



「お前、怖くないのか!」


「なにが」


「この髪が!」



男は小首を傾げて「ん?」と声を漏らした。