牢に入ってもなお緋次にはわからなかった。 組の仲間を切ったのは単なる好奇心に過ぎず、切腹を申しつけられても心が動くことはなかった。 死を迎えるという事実は散々殺してきた奴らとなんら変わらない。 死した後もそうなのか。 …故に、彼は「狂人」として再び忌み嫌われるようになった。 何故人を殺してはならないか。 既存の道徳など最初からありはしなかった。