〜〜♪…………


ケータイを開けるのが、少しだけ遅かったみたいだ。
あたしがケータイを開けた途端、さっきまで鳴り響いていた不快な音は途絶えてしまった。


(少しぐらい待ってくれたらいいのに…)


そう思いながらも画面を見つめると、普段は何も無いはずの画面中央の場所に、文字が表示されていた。


《着信 1件》


あたしのケータイは、あくまでも家族との連絡用。
友達とメールだとか、恋人と電話だとか、そんなもの、一切存在しない。


だからといって家族から電話があるわけでも無く、メールがあるわけでも無くて。
何も活用されずに、ただ、テーブルの隅っこに置かれているだけだった。


――なのに。


ねえ、誰が電話をかけて来たの?
ねえ、どうして電話をかけてきたの?


どうして、何の為に。