しくじったな。


完全演技のつもりがぼろが出た。



でも栞はそれが逆によかったのか顔を赤くしていた。


セーフってところかな?



ゴトンゴトン



俺たちにかまわずに電車は揺れる。



そして、次の瞬間。



「キャッ」



栞がそのゆれで俺の肩に倒れてきた。


彼女の髪の毛からラベンダーの甘い香りがする。


「ごめん...。」

「いいよ。」


俺は顔を赤くした栞に優しく言った。