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「・・・いない、」

わかってたのに気が急いて、盛大な足音を立ててしまった。



「静かにしてください。」

案の定注意される。
なんだ、斎藤じゃん。


「な、オマエなにしてるわけ?」


「図書委員だけど、」

「委員、決まったばかりで
もう狩り出されてんの?」


「や、2年からずっとやってるし。」

そうなのか。
貸し出しの受付に横柄な態度で座るヤツ、似合わねー。
隣りにはわりと可愛い女子がちょこんと座ってる。
前にタイプの女子なんだって教えてもらったかも。目的はこっちか。


いや、そんな事より、

「あのさ、沙紀チャン来なかった?」

小声で言ったにもかかわらず斉藤のヤツ、


「なーんか、和真おかしいんじゃね?朝から沙紀チャン沙紀チャンってさ、キャラ変わった?」


「うっせー。」

声でかいよ。静かにしろとか言ってたくせに。自習スペースの視線が一気に背中に集まってる。ヒシヒシと感じる。

でもその中に目当ての彼女のそれはない。
図書室って嘘だったのか。