荷物を取りに教室へと向かう。
今日は部活もないし、もう誰もいないはず。

チラッとA組の教室を覗いてみた。カバンが所定の位置にあってホッとする。
誰もいない、よかった。


フラフラしながらカバンを抱えたところで、



「いた、」

その声に、ビクッと必要以上に反応してしまう。



「荷物、あったから。」

「あ、うん。」


「もう帰る?」

「まだ、もう少ししてから。」



「そう・・・」

彼・・・・佐々木くんは、そう言ったきり視線を逸らす。

隣の机にもカバンが置いてあった。


まさか、まさかあたしを?
・・・いやいや、ありえないわ。
なに考えちゃってるんだ、バカみたい。
さっき『あとでね』って言われたけど。違うよね、たまたまに決まってる。
佐々木くんにもなにか用事があったんだ、きっと。



「さ、ょうなら。」

あたしは、精一杯明るい声を出そうとしたけど、噛みそうになってしまった。
心臓が破裂しそう。


「え?ああ、」

その返しを背中で聞く。
顔なんてみれないもん。
どうしちゃったんだろ、あたしったら・・・・