久しぶりだなあ、この感じ。 一段一段ゆっくり登るたびに鳴る靴の音 教科書がぎっしり入った鞄の重さ 少しくすぐったいワイシャツの襟 窓から差し込む光できらきら光る窓 そして 階段を登り終えた蒼井 咲(あおい えみ)の眼に飛び込んできたのは たくさんの人でにぎやかな長い廊下だった。 あぁー!やっと学校にこれたんだ! 雨の匂いが香る六月の晴れた日。 咲は二カ月ぶりに学校に登校した。 二か月前は淡いピンクの花でいっぱいだった桜の木は 黄緑色の小さな葉っぱをいっぱいつけていた。