男装少女はアイドル②【完】



『ふあ…。』


出てきた欠伸を噛みしめて家を出る。



「眠れなかったの?」


『うん、そう眠れなか…!?』


「おはよう」と笑顔で帰ってきた。

『ちょっ!なんでここに居んの!?』


「しー。」


ギロリと通勤中のサラリーマンや暗記中の学生に睨まれる。

朝が苦手なんだろう。

隣の男も大きな欠伸を手で隠した。


『なんで家に泊まった訳?』


「夜遅くなったから。」


まるで台詞を読むかのように棒読みだ。…どんだけ眠いんだよ。