男装少女はアイドル②【完】



……そう言えば、見回りしてないな。

事務所に入って行った影もかなり怪しいし。



どうしようか…?

多分結城さんはあたしのことを良く知らないだろうしなぁ…。


なんて考えとは裏腹に、足は事務所から離れる。

無意識に見上げれば紅い月。


もしかしたら……。

すると、ピタリと前を歩く彼が止まった。


「……あの方は知り合いですか?」


『へ?』


誰のことだと、周囲を見渡す。