男装少女はアイドル②【完】



「…帰って来ないと思ったら……。」


聞き覚えのある声が耳に響く。



『……お怒りで。』


暢気に時計を見ると、予定の時間が過ぎていた。

まさに一気にどん底に落とされた気分。



「なんなら……仕事、10倍にしましょうか?」


『……。』

「……。」

『…………。』

「…………。」



『…………すみません結城さん。』


「……次は気をつけてくださいよ。」



悪魔のお許しが出て、あたしは地上に足をついた。