すると桃子さんは、警戒するようにドアを見つめ、 「誰かしら?」 と、言った。 ドアの向こうに居る人は緊張していないのか、穏やかな呼吸をしていた。 それを確認してから目を閉じ、耳を澄ます。 「……結城です。」 結城? その単語にあたしは目を開けた。 「入っていいわよ。」 桃子さんと目で合図をして、さっきまで外していたメガネをかけた。