男装少女はアイドル②【完】



すると桃子さんは、警戒するようにドアを見つめ、


「誰かしら?」


と、言った。

ドアの向こうに居る人は緊張していないのか、穏やかな呼吸をしていた。

それを確認してから目を閉じ、耳を澄ます。


「……結城です。」


結城?

その単語にあたしは目を開けた。


「入っていいわよ。」


桃子さんと目で合図をして、さっきまで外していたメガネをかけた。