男装少女はアイドル②【完】



「っと…忘れるところでした。」

チラリとあたしに視線を送ると、花束を出した。

「わお、セツちゃんってマジック出来るんだ。」

「ちゃん付けしないで貰えませんか?
……気持ち悪い。」

わざとらしく蔑んだ目で見た。


あれ、セツナにしては珍しい反応…。

「奈子様、そろそろ準備が出来たようなので…。」

「分かった。」


「はぁ…じゃ、僕は先に行くね。」
「うん。」

彼は背を向け、右手で手を振ると部屋から出て行った。